働きやすい医療現場に整える 【浴室】

コラム

入院生活では、食事や運動の制限があったり、自宅のように自由に生活することができず、患者さんは少なからずストレスを感じています。患者さんにとって、洗髪や清拭、シャワー浴などの清潔ケアは身体だけでなく、さっぱりとした爽快感を得られることで、精神的にも良い効果があります。看護師としては、可能な限り患者さんの希望に沿えるよう、またADLを拡大させていけるよう、清潔ケアの内容なども考えていきますが、浴室自体が片付いていなければ、転倒のリスクが高くなり、患者さんのシャワー浴へのハードルが上がってしまいます。
みなさんの働く職場では、浴室は整えられていますか?
今回のコラムでは、病棟にある浴室の整理整頓について考えていきたいと思います。

浴室の形態

どんな方が入院しているかによって、必要な設備が異なります。そのため病棟の特徴や多い疾患により、浴室の形態は様々です。

一般病棟

一般病棟では、主にシャワー浴を施行することが多く、浴槽がなくシャワーのみが設置してある病棟もあります。また、浴槽が備え付けられていても、転倒や溺水の危険から浴槽が使われていないということもあります。

浴室内は車椅子でも入れるよう、自宅の浴室よりも広くとられており、手すりをつけて患者さんが使いやすいよう考えられています。

療養病棟

https://www.satohservice.jp/ よりお写真をお借りしています

自力で動いたり、座ったりすることができない方の入浴のために、特殊浴のための浴室が設置されています。患者さんは臥位の状態でも入浴することができ、看護師や看護助手、介護士などの介助で入浴を進めていきます。一般浴よりも広く設計されており、浴槽にはリフト機能が備え付けられ、移乗が簡単にできるようになっているところもあります。

リハビリ病棟

済生会有田病院さまよりお写真をお借りしています

自宅での生活をイメージして練習できるように、浴槽やシャワーが設置されています。浴槽が複数準備されている病院もあり、同じお湯に浸からないよう衛生面を考慮されています。一般病棟よりも多く手すりがつけられており、設置されている方向も様々で、患者さんの状態に合わせて、どのように身体を動かせば良いか、自宅の浴室に手すりをつける際、どこに付ければよいか、どのような物品があると入浴がスムーズに行えるかなど、退院後の生活を考えることができます。

これ以外にも、産婦人科や小児科、救急病棟、緩和ケア病棟など、病棟によって様々な工夫がされています。

浴室に置いてあるもの

病棟の浴室や脱衣所に何がおかれているか、みていきます。
わたしが以前働いていた病院では、このような物が置かれていました。

浴室

洗面器、入浴用の椅子、入浴用の車椅子、洗髪器、足浴用のバケツ、浴室の掃除道具

脱衣所

入浴介助用エプロン、長靴、手袋、ゴミ袋、着替えを置く棚やかご、
脱衣所の椅子(更衣時使用)、ドライヤー

清拭用の洗面器、シャワーボトル、ピッチャー

清潔ケアで使用するグッズは、使用後濡れていることがあり、全て浴室で乾燥させ、収納していました。

夜間は浴室を使わないので、浴室内にケアや環境整備に使用するカートなどをしまっておくことで、廊下や詰所に物が溢れないようにしていましたよ。

浴室・脱衣所での困りごと

必要な物がすぐに届かない

シャンプーやボディーソープなどは基本的にご自身で準備してくださいと説明はしているものの、金銭的な問題や家族の面会ができず持参されていない、自分で買いに行くことができないなどの理由で準備できない患者さんもいます。
シャンプーやボディーソープなどは、人によって病院のものを準備する必要があったりなかったりと、臨機応変に対応していました。予め、準備は整えておくのですが、服を脱いでもらい洗い始めてから、シャンプーやボディーソープがないことに気づいたことがありました。
患者さんを置いてその場を離れることができず、ナースコールを押して他のスタッフに持参を依頼しましたが、患者さんを裸の状態でお待たせしてしまったこと、他のスタッフの手を止めて頼まなければならなくなったことを申し訳なく感じました。

また、浴室内は濡れてしまうため、交換用の手袋を置いておくことができず、手袋を交換したいときに、脱衣所までいかなければならず、手間だなと感じていました。

そういうときは白衣のポケットに多めに手袋を入れておき、取りにいく手間をなくしたり、手袋を2枚重ねにして、手袋を脱ぐだけで対応ができるようにしていました。

患者さんの動線を考えると、収納スペースが少なくなる

浴室は一般家庭の浴室より広めになっていることが多いですが、移動するために壁伝いに移動したり、手すりを使わないと不安定な方も多く、動線を考えて移動の邪魔にならない所に収納スペースを作らなければなりません。そのため、部屋の広さに対して、収納スペースは狭くなりやすいです。

看護師と患者さんと両方の動線を考えた配置で収納できないと、患者さんの安全が守れない、看護師の業務動作が多くなり効率的に動けない等の問題が起きてしまいますね。

患者さんが入浴中、清潔ケア用品が取り出せない

清潔ケアのグッズが脱衣所に置かれており、必要なときにはそこから取り出して使用していました。基本的には、患者さんの入浴前にそれらのグッズを取り出すようにしていましたが、出す前に患者さんが入浴してしまい、必要なときに清潔ケアグッズを取り出せないということがありました。

このようなときもケア用品の収納場所を見直す必要がありそうです。

浴室を働きやすく整えよう

必要ないものは処分する

入浴に必要のない物が置かれていないか、確認しましょう。
広いスペースがあるからといって、一時的に置いていたり、入浴に必要のないものを置いていないでしょうか?
浴室は湿度が高くカビが生えやすい場所です。一時的な保管であったとしても、衛生的に問題が生じる場合があるため、注意しましょう。

箱やカゴに分けて収納する

例えば、洗髪で使うシャワーボトルを1つのカゴに入れたり、清拭で使う洗面器やピッチャーをひとまとめにして置いておけば、朝一番にそれらをカートに置いて、詰所に置いておくようにすることで、患者さんが浴室を使っているから必要な物が出せないといったことは防ぐことができます。

また、病棟用のシャンプーやボディーソープは浴室に持ち込めるようなカゴや小さなワゴンなどにいれて置いておくと、必要な時には浴室内に持ち込むことができ、不要な時には脱衣所に保管できるので便利です。

収納する場所を考える

浴室の扉を開けてから、患者さんが荷物を置き、服を脱ぎ、移動して浴室の身体を洗う場所・シャワーを使用する場所に移動するまでの動きを考慮して、邪魔にならない場所に収納棚を置きましょう。
患者さんが使用する場所は、立ったり座ったりしている状態で手の届く高さに物が置けるよう設定し、手を伸ばしたりつま先立ちして使用するような場所や、しゃがんでモノを取り出さないといけない場所は看護師が使うようにしましょう。

患者さんの動線には手すりなどを設置し、キャスターがついているワゴンや棚、倒れやすく不安定な椅子などは、置かないようにしてくださいね。患者さんが体の支えとしてそれらの物を持ったことでバランスを崩し、転んでしまうことがあります。

患者さんが使ってよいものは、患者さんの目の入りやすい場所に置く

以前働いていた病院では、ディスポの足ふきマットを使用していましたが、患者さんの目に入りにくい場所に保管されていたために、看護師が設置までしないと使ってもらえないということが何度かありました。また、ドライヤーが他の物品に紛れてしまい、場所がわからないために患者さんが使えないこともありました。

患者さんが使ってよいものは、目に付く場所に置いたり、あらかじめ「患者用」などとラベルを貼り、使いやすくするように工夫してみてください。患者さんが探す手間がなくなりますし、場所がわからないとナースコールで呼ばれることを減らすことができます。

まとめ

今回は、浴室・脱衣所の整理整頓について考えてみました。

働きやすい浴室に整えるポイント
  • 不要な物は処分する
  • 箱やカゴを使って収納する
  • 収納する場所を考える
  • 患者さんが使ってよいものは、目に入りやすい場所に置く

浴室には、濡れてしまって他の場所に保管できない物を置いておく必要があり、患者さんに使ってもらうスペースと看護師が使うものを置いておくスペースとが混在することで、使いにくさが生じます。
患者さんにとって使いやすいことはもちろんのこと、看護師が使いやすい空間に整えることによって業務効率をあげることができます。

浴室は滑って転んでしまったり、血圧の変動によって患者さんが急変するリスクの高い場所です。環境を整えておくことでリスクを軽減することができ、また、いざというときにスペースを確保することができるよう、日頃から整理整頓を心がけましょう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました