働きやすい医療現場に整える【薬品棚】

コラム

看護師にとって身近で、日常的な業務の一つである投薬。
投薬をするために必ず立ち寄る薬品棚は、みなさんにとってもなじみ深いものではないでしょうか。
みなさんの病棟では薬剤はどのように管理されていますか?薬品棚は整理整頓されていますか?

わたしが以前働いていた職場では、病棟の常備薬の種類が多く、薬を上に重ねて保管していたため、取り出すのに時間がかかり、使いにくさを感じていました。
在庫確認や使用期限の確認も、薬をひとつずつ出して確認していたため、とても時間がかかりました。また勤務交代時に、常備薬の数が足りないと慌てた経験が何度もあります。
薬品棚の薬剤が煩雑に収納されていると、薬剤が取り出しにくく、在庫管理もしにくいです。また煩雑な環境は、薬剤を取り間違えるといった医療ミスの発生につながります。
このコラムでは、安全で使いやすい薬品棚にするにはどうしたらよいのかを考えていきます。

薬品棚とは

楽天市場様から画像をお借りしました。

薬品棚とは、薬剤が収納されている棚のことを意味します。
棚の中には、急な発熱、術後の不穏、夜間の痛みといった急な症状に迅速に対応するための薬剤が、常備薬として保管されています。
薬品棚は鍵付きのため施錠して管理することが可能であり、さらには薬品棚の中に、麻薬や毒薬などを保管できる堅固な金庫が設置されています。

毒薬、麻薬、向精神薬は鍵付きの保管が法律で決められています!

それ以外の薬品でも、薬品を安全に管理するため、「薬品棚は基本的に鍵をかけて管理する」ということを習慣化しましょう。

常備薬(配置薬)とは

夜間や休日など医者が不在になる時間帯や、早急に投与が必要な場合に対応するために、病棟に保管されている薬剤のことを意味します。通常の時間帯は医師により指示された薬剤を使用するために使用しないことが多いです。誤薬を予防するために、病棟に常備薬を保管することを廃止している病院もあります。

収納されている薬剤の例

鎮痛剤
制吐剤
眠剤
精神安定剤
降圧剤
緩下剤 
持続点滴

一般的によく置かれている薬剤を表記しています。
常備薬は診療科目や患者さんの年齢層、病棟担当医などによっても異なってきますので、上記以外の薬剤が常備されている場合もありますね。

薬剤の保管方法

国家試験の勉強のときに覚えたという人も多いかと思いますが、特に厳重な管理を要する薬品の保管方法についてお話していきます。

毒薬

他の薬剤と区別して鍵をかけて保管する
表示は黒地に白枠、白文字で「毒」と表記。

劇薬 

まとめて保管する
必ずしも鍵はかけなくてよい
表示は白地に赤枠、赤文字で「劇」と表記。

麻薬

他の薬剤と区別して鍵をかけた堅固な金庫に保管する
紛失した場合は都道府県知事に届け出る
表示は、形は丸で「麻」と表記。

向精神薬 

医療従事者が盗難防止について十分な注意を払える場合以外は、鍵をかけて保管する


これらの薬剤を取り扱う際は、毒物及び劇物取締法、麻薬及び向精神薬取締法に基づく保管管理が必要です。

この他にも「遮光保存」「冷所保存」といった特別な保管を行う薬剤もあります。冷所保存の薬剤については薬品冷蔵庫のコラムで詳しく記載していますので、そちらも是非参考にご覧下さい。

薬品棚での困りごと

薬の数が多い

 沢山の薬剤が詰まって保管されていると、探しにくく、取り出しにくいために無駄な時間を使ってしまいます。また在庫を沢山抱えると、使われずに使用期限が切れてしまうこともあります。薬剤を使用期限内に使い切るためにも、適切な在庫管理が必要になります。

薬の定数が合わない

 常備薬は患者さんの指示書に基づき、使用します。その際に常備薬使用簿に記載します。その後薬剤部から使用した分の薬剤が補充されます。補充された薬剤と常備薬使用簿が一致していること、定数が揃っていることを確認します。しかしながら忙しい業務の中で、常備薬使用簿に書き忘れて、薬が足りなくなっていることはしばしば起こります。

薬を処方しないと医療請求できないため、結果病院からの持ち出しになり、病院に不利益が生じることがあります。

薬の保管が煩雑である

 それぞれの薬の保管場所が決まっていない場合、空いているスペースにどんどん置いていくということになります。薬剤がバラバラに保管されていると、薬剤棚が煩雑な印象になり、薬剤を探すことに無駄な時間がかかります。また、いつもと違う場所に保管すると、思い込みで同じ位置にあった違う薬剤を手に取り医療ミスにつながる危険性が高まります。

薬品棚を働きやすく整えよう

整理整頓する

 同じ薬剤は同じ容器にまとめます。使用する容器は空き箱ではなく、アルコール消毒ができるようなプラスチックの素材を使用しましょう。そして、容器に薬剤名と定数をラベリングで表記します。定数を表記しておくことで在庫管理も容易になります。薬剤の位置を決めて棚や容器に表記することで、同じ場所に薬剤を戻すことが可能になり、整理整頓を促すことができます。定位置に薬剤を保管することは、取り出す際のエラーを防ぐことができ医療ミスの発生を抑える効果もあります。

よく使う薬剤は手前に配置し、あまり使わない薬剤は奥に配置することで、取り出しやすく使いやすい棚になります。

似ている薬剤の配置を変える

似ている薬剤同士を隣り合わせにおくと、薬剤を取り間違えてしまう原因の一つになります。似たような見た目や名前の薬剤は離して保管し、さらに「類似薬剤あり」といった注意を喚起するような色ラベルをつけると、薬剤を取り間違えるミスの発生を予防できます。

常備薬の定数を見直す

あまり使われていない常備薬はストックから削除します。また常備薬の定数を見直し、在庫が多すぎるものは減らして、使用頻度の高い薬剤の定数は増やしましょう。常備薬は病棟でよく使う薬剤なので、定数を見直し管理することは業務改善にも繋がります。劇薬や向精神薬は厳重な個数管理が必要であるため、過剰に在庫を抱えることは紛失や盗難のリスクにもつながるために避けましょう。

見やすく薬剤を置く

 錠剤は重ならないように置きます。スポンジの真ん中に切れ込みを入れて、薬を挟んで保管すると、数量を数えやすくなり在庫管理がしやすくなります。アンプルもスポンジに挟んで保管することで、不足した薬剤が見てすぐわかるようになります。横に寝かして保管すると、アンプル同士がぶつかって破損する危険性がありますが、このような方法にするとアンプル同士がぶつからずに安全に保管することができます。

常備薬使用簿に必ず記載する

忙しい業務の中でも、常備薬を使用する際は、看護師2名で指示書と薬剤を確認し、必ず常備薬使用簿に記載しましょう。忙しいからあとで書こうと後回しにしてしまうと、結果的に書き忘れてしまい、薬剤の数が足りなくなってしまいます。投薬行為は看護師が起こす医療ミスでも頻度が多いものです。決められた使用方法を守り、安全に投薬を行いましょう。常備薬で取り扱うことが多い、向精神薬や劇薬は盗難や紛失、不正使用を防止しなくてはなりません。在庫管理を厳重に行う必要のある薬剤であるため注意が必要です。

薬剤の使用期限が近いものは注意喚起をする

 ストックされた薬剤はあまり使わない場合、使用期限が切れてしまい破棄することになるケースもあります。使用期限が近くなってきた薬剤があれば手前に配置し、「期限切れ間近」と注意を喚起するラベルをつけるとわかりやすいです。使用期限の近い薬剤から使用することで、無駄に破棄する薬剤を減らすことができ、医療コスト削減にもつながります。

まとめ

今回は働きやすい薬用保冷庫の環境についてお話させていただきました。

薬品棚を働きやすく整えるポイント
  • 整理整頓をする
  • 似ている薬剤の配置を変える
  • 常備薬の定数を見直す
  • 見やすく薬剤を置く
  • 常備薬使用簿に必ず記載する
  • 薬剤の使用期限が近いものは注意喚をする

薬品棚が整理整頓されていると、薬剤がスムーズに取り出しやすくなり、使いやすくなります。
また環境を整えることで、医療ミスの発生を抑えられる効果もあります。毎日の業務に欠かせない薬剤、収納している薬品棚の環境を一度見直してみてはいかかでしょうか?

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