みなさんは、得意分野のある看護師がいることはご存知でしょうか?
医師と同じく内科、外科のように細かく分類された専門的分野を勉強し、公益社団法人日本看護協会に認められた看護師がいます。
得意分野を持った看護師がいることや一般の看護師との違いについては、今までの記事でまとめました。
専門看護師と認定看護師の資格詳細はこちら
専門看護師や認定看護師が一般の看護師とどう違うかについてまとめた記事はこちら
専門看護師と認定看護師は、専門的な勉強をして、試験に合格していることはわかったと思いますが、今回はその2つの資格の共通点と違いについて見ていきます。
専門看護師

まずは専門看護師についてです。英語では、Certified nurse specialistでCNSと略されます。
専門看護師は、水準の高い看護を効率よく行うための技術と知識を深め、卓越した看護を実践できると認められた看護師のことです。
資格の概要
患者・家族に起きている問題を総合的に捉えて判断する力と広い視野を持って、専門看護分野
の専門性を発揮しながら専門看護師の 6 つの役割「実践・相談・調整・倫理調整・教育・研
究」を果たし、施設全体や地域の看護の質の向上に努めます。日本看護協会 資格認定制度 専門看護師より抜粋
つまり、病院の中で横断的に関わり、施設全体や地域の看護の質をあげることを目標とされています。
資格認定までにかかる時間数

CNSになるには、専門分野によって26単位か38単位の取得が義務づけられています。
これは1単位45時間という大学規定があるため、合計1170時間または1710時間の計算になります。
また時間数ではなく、単位数であることに注目してください。それぞれの授業の課題の提出や発表などで単位を取得するのが大学の制度です。
単位として大学が認定しなければ、再受講する可能性もあります。
専門看護師のページ(日本看護協会のリンク)はこちら
認定看護師

次は認定看護師についてです。英語ではCertified nurseでCNと略されます。
認定看護師は、高度化し専門分化が進む医療の現場において、水準の高い看護を実践できると認められた看護師のことです。
資格の概要
患者・家族によりよい看護を提供できるよう、認定看護分野ごとの専門性を発揮しながら認定看護師の 3つの役割「実践・指導・相談」を果たして、看護の質の向上に努めています。日本看護協会 資格認定制度 認定看護師
つまり、専門看護師よりは活動範囲が狭く、患者家族により近い形で、看護を実践・指導・相談をする看護師です。
資格認定までにかかる時間数

認定看護師になるには、600時間の研修が必要と定められています。現行制度の特定認定看護師は、200時間の追加研修を受け、特定行為について学ぶ必要があります。つまり合計800時間を学ぶ必要があります。
認定看護師のページ(日本看護協会のリンク)はこちら
専門看護師と認定看護師の共通点と違いとは

どちらの資格も特定の分野について質の高い看護ができると認定された看護師であることはお分かりいただけたと思います。実際に一緒に働いていたときに感じていた2つの専門職、専門看護師と認定看護師の共通点と違いについて、まとめました。
専門看護師と認定看護師の違い
まずは2つの資格の違いについて見ていきましょう。
特定分野の違い
専門看護師は13分野、認定看護師は19分野にわかれています。
このように認定されている分野が違うことが専門看護師と認定看護師の違いの一つです。
例えばがん看護を見てみると、専門看護師の分野ではがん看護の専門看護師は、がんであれば全般的に関わります。一方、認定看護師の認定の分野では、がん化学療法看護、がん放射線治療看護、がん性疼痛看護、乳がん看護と4種類に分けられており、細かく分類されていることがわかります。認定看護師は認定の分野が細かく分類されており、範囲が限られていることがわかると思います。
役割が違う
認定看護師の役割は、「実践・指導・相談」の3つに対し、専門看護師は「実践・相談・調整・倫理調整・教育・研究」の6つです。担うべき役割が違うことが2つめの違いです。
資格取得の難易度が違う
認定看護師は、研修センターなどで800時間の研修を受けて、試験に合格すると資格取得できますが、専門看護師は、日本看護系大学協議会が定める教育課程を26単位か38単位取得した上で、試験に合格する必要があります。専門看護師の方が資格取得の難易度が高いと言えます。
資格更新の難易度が違う
認定看護師も専門看護師も資格の更新が5年ごとに必要です。その5年の間にためるポイント数も違います。認定看護師は、2000時間以上の看護実践と研修と研究合わせて50ポイントが必要になります。専門看護師は、研修と研究それぞれを100点ずつ合計200点が更新に必要なポイント数です。
資格更新の難易度も違うと言えるのではないでしょうか。
専門看護師は常に看護研究
専門看護師の役割は、「実践・相談・調整・倫理調整・教育・研究」と示されているように、看護研究をすることも専門看護師の役割になっているため、日々の看護の中でもテーマを見つけて看護研究をされていました。専門看護師は大学院で修士課程を卒業されているため、論文の発表などでも教育的に関わっていただき、病棟内で研究をすすめていくことになったときにもよく助言をいただいていました。
2つの資格の共通点

ここからは、専門看護師と認定看護師の共通点について見ていきます。
現場ではどちらもスペシャリスト
専門看護師のCNSの略語を訳すと「認定された看護師のスペシャリスト」ということになります。認定看護師のCNは認定された看護師、という意味になり、スペシャリストとはついていません。しかし現場にいたときは、専門看護師も認定看護師もスペシャリストとしてみなされていたように思います。病院によっては、専門や認定を取得している看護師は給料アップの病院もありました。
臨床での実際の働き方

専門看護師や認定看護師の臨床での実際の働き方はどうなっているのでしょうか?
病棟の配属の有無
私の所属していた病院では、専門看護師も認定看護師も区別なく一人のスタッフとして考えられていました。専門看護師は分野によっては病棟を横断的に働かれていることが多いので、例えばがん看護の専門看護師は自分の所属の部署以外でも要請があれば訪問し、患者さんもその病棟のスタッフの教育も行っておられました。
病院によっては、専門看護師は病棟に配属せず、看護部所属にして、リストアップされた患者さんを毎日訪問するという仕組みにされている病院もあるようです。
せっかく時間をかけて専門や認定の資格を取得したので、資格が発揮できる勤務体制や勤務希望ができる病院だとより良いですね。
さいごに

いかがでしたか?専門看護師と認定看護師の違いはおわかり頂けたでしょうか?看護師としてのキャリアを考えていく上で参考にしていただけると嬉しいです。
看護師としてスキルアップするために専門看護師や認定看護師を取得される看護師はどんどん増え続けています。しかし、看護師の大部分はジェネラリストです。そのジェネラリストがスペシャリストといかに協力していくかが鍵となっています。
看護師としてスキルアップはしたいけど、大学院で勉強するほどでもない、と思われている方もいらっしゃるかもしれません。そんなときに消去法でジェネラリストではなく、プロのジェネラリストという道もあると示せるようにしていくことが看護界全体の課題でもあると思っています。
看護師それぞれのキャリアが生かしていけるような看護の未来をつくりたいですね。
最後までお読みいただきありがとうございました。
コメント