働きやすい医療現場に整える【病室】

病室

病室は、入院中の患者さんにとって、生活の場となるところです。また、看護師にとっては、ケアや処置を行う場であり、看護業務の中心的な場であるといえます。
整理整頓された病室であればスムーズに業務を行うことができる一方で、散らかった病室の場合、ケアを行うスペースを確保したり、物を探したりと業務を行うまでに時間がかかってしまい、効率が悪くなります。また、患者さん自身も、散らかった病室では日常生活を送りにくく不便です。ベッド周囲の環境が整っていなければ、衛生的とはいえず、転倒転落を引き起こしやすい危険な環境になってしまいます。
患者さんにとって過ごしやすい病室に整えることは、看護師が働きやすく効率的に業務を行えることにも繋がります。では、どのように病室の環境を整えればよいのでしょうか?
この記事では、患者さんが過ごしやすく、また看護師がスムーズに業務を行える病室の環境について考えていきます。

病室の種類

病室は大きく分けて3つに分類されます。
入院時に患者さんや家族の方の希望で、どの部屋にするか選んでもらうことができる場合もありますが、患者さんの状態や治療内容、部屋の空き状況などによっては、ご希望にそえない場合もあります。

大部屋

複数人の患者さんが入院する病室です。カーテンで仕切られており、共同生活ができる患者さんが入院しています。ADLが自立していて回復期の患者さんが入院することが多いです。

個室

個人用の病室です。独立した部屋であり、感染症がある場合や、ケアが多く必要な急性期の患者さんが入院することが多いです。

特別室

他の病室に比べると設備が充実し、部屋が広く高級ホテルのようなイメージの病室です。差額ベッド代は高額であり、患者さんの希望で入院することが多いです。

2人部屋、トイレ付きの個室、トイレ無しの個室等、病院によっては部屋のバリエーションがもっと多いところもありますね。

病室の設備

病室の設備は、ベッドの差額によって異なります。

大部屋

〈1人に1つ準備されているもの〉
ベッド・冷蔵庫・テレビ・床頭台・ロッカー・ゴミ箱・オーバーテーブル

〈共同で使用するもの〉
ソファーや椅子・机・洗面台・トイレ

個室

大部屋の設備+専用シャワー室や浴室

特別室

個室の設備+応接セットやキッチン

病室での困り事

床に物が置いてある

持参している荷物が多く、ロッカーにしまいきれずに、洗面器やオムツのストックが床に置かれているという場面をしばしば見かけます。
床に物が置いてあると、見た目が悪く、療養環境が整っていない印象を与えるだけでなく、交差感染を引き起こす可能性があります。床に物を置くことは衛生的に良くありません。また、床に物が置いてある状態だと、移動する際につまづいたり転んだりする危険性も考えられます。

床頭台やオーバーテーブルの上が物であふれている

床頭台やオーバーテーブルに様々な日用品が置いてあり、食事の配膳をする時に、空いているスペースがなくて困ったと感じたことがある方も多いと思います。物があふれている病室は患者さんにとっても、欲しいものがすぐに見つからずに不便です。また、テーブルが片付いていない場合、服薬する際に、薬を紛失したり、補聴器や義歯など高額な物を紛失する可能性があります。
物であふれた病室は患者さん、看護師にとって不便な空間であるといえます。

退院されてから、「補聴器がない」「入れ歯がなくなった」など様々なお問い合わせを頂きます。これらのものは高額ですので、勤務していた看護師に順番に電話がかかってくることも多いです。失くし物をしないためにも、ベッド周囲の環境は整えたいですね。

コードが絡まっている

入院患者さんの周りには、自動操作できるベッドのコードやテレビやラジオのコード、携帯の充電器など入院生活に必要な電子機器類のコードが多く存在しています。また、患者さんの状態によっては、輸液ポンプやベッドサイドモニターといった様々な医療機器が設置されることがあり、ベッド周囲がコード類でぐちゃぐちゃになっているという場面に遭遇した経験のある看護師は多いのではないでしょうか。
コードが床に垂れてしまったり、通路を横断しているような場合には、患者さんがコードにひっかかり転倒する危険性があります。また検査などでベッドを移動する際にも、スムーズに移動することができません。

不要な医療器具がそのままになっている

急性期の病棟では、患者さんの状態は日々変化しており、状態に合わせて必要な物品も変わっていきます。例えば、車いすや歩行器などの移動をサポートする器具などは、患者さんのADLの拡大に伴い、不要になっていきますが、患者さんが使わなくなった場合でも片付け忘れてそのままベッドサイドに置かれていることがあります。それ以外にも、酸素やチューブ類、氷枕、点滴台など、不要になった物がそのまま置かれているという状況はたびたび目にします。

療養スペースには限りがあり、特に複数人での病室の場合、一人ずつに与えられる療養スペースは少なくなります。隣の人のスペースに物がはみ出してしまいトラブルになったり、通路に物が置かれていたために転倒につながったというインシデントやアクシデントを引き起こす可能性があります。

ロッカーが散らかっている

患者さんのロッカーから着替えやタオルなど必要なものを準備しようとした際、「必要なものがどこに入っているのかわからない」なんて経験をされた看護師さんは多いのではないでしょうか?
ロッカーの中が整理整頓されていないと、患者さんの私物を探し出すことに時間がかかってしまいます。また、物が山積みにされていると物が取り出しにくく、患者さんにとっても看護師にとっても不便です。

病室を働きやすく整えよう

病室は患者さんの療養生活の中心となる場所です。そのため、どのように病室を使用していくかは患者さんに委ねられます。療養生活を快適に過ごすためには、私たち看護師が患者さんにベッド周囲の物の配置や整理整頓についてアドバイスしてていくことはできます。
患者さんが快適に過ごすことができ、看護師が業務をスムーズに行うことができる病室にするにはどうしたらよいのか考えていきます。

床に物をおかない

床においてある洗面器やオムツのストックはロッカー内に収容しましょう。
荷物が多く、ロッカー内に物が収納しきれない場合には、不要な物を一度自宅へ持ち帰ってもらいます。
床に物をおかないことで感染予防でき、また患者さんの転倒転落のリスクも減らせます。

ロッカーを整理する

よく使う日常的な着替えやタオルは手前に、あまり使わないオムツのストックや予備の日用品などは奥に収納しましょう。
特に着替えやタオルやオムツといった、看護師が日常生活援助の際に必ず使うものはロッカー手前に収納していただけるよう、患者さん本人や家族の方へ声をかけると、探す手間が省けて使いやすくなります。

患者さんのロッカー整理については、当サイトにある【患者ロッカーの収納のコツ】というコラムに詳しく記載していますので、そちらもまたご覧ください。

不要なものは片づける

ADLが拡大して、不必要になった歩行器や車いすがある場合は片づけましょう。他にも、使い終わった氷枕や体位交換の際に使用した枕、病状が回復して不要になった酸素流量計や吸引器、点滴棒や輸液ポンプなど、治療を終えて不要になった医療器具があれば片付けましょう。

コードを束ねる

ベッドサイドモニターや輸液ポンプといった医療機器のコードを、結束バンドやマジックテープを使用して束ねると、コードが絡まりにくく、見た目もすっきりとした印象を与えます。コードが床に垂れなくなると、清潔な状態を保つことができ、患者さんがコードにつまづいて転倒する危険性もなくなります。配線がすっきりすることでベッドごと移動する際もスムーズになります。

部屋に入って担当であることを伝えたらまずコード類の絡みをとったりまとめたりすることをセットで行っていたので、自分の勤務中は責任を持ってコードが絡んだりひっかかったりしないようにすることが大切ですね。

床頭台やオーバーテーブルの上には必要最低限のものをおく

よく使うものだけをベッドサイドにおいて、不要なものは破棄するようにします。捨てられないけどあまり使わないというものは、ロッカーに収納しましょう。
カゴを利用して収納すると、細々したものもバラバラにならず、すっきりとした印象で使いやすくなります。

患者さんの中には私物を移動させたり、触ってほしくない方もおられるため、看護師が整理する場合は、患者さんへの声掛けを忘れずに。了承を得てから行ってくださいね。

手に届く範囲に必需品をおく

ベッド周りでの収納便利グッズとして、ベッド柵にS字フックでカゴをぶら下げると便利です。療養生活の中での必需品をカゴの中に収納することで、手に取りやすく、収納しているものが上から見えるためわかりやすいです。

患者さんの必需品がわかりやすくなると、看護師もベッド周りの環境整備をしやすくなりますね。

S字フックでビニール袋を吊り下げている患者さんもしばしばみかけます。患者さんによってはゴミ袋として使っている方もいますし、貴重品を入れられている方もいます。
わたしが以前働いていた病院で、看護師がゴミだと思い捨てた袋に、入れ歯が入っていて、大きな問題になったことがありました。ゴミなのか、必要な物なのか、必ず患者さんに確認してくださいね。

まとめ

今回は働きやすい病室の環境についてお話させていただきました。

働きやすい病室に整えるポイント
  • 床に物を置かない
  • ロッカーを整理する
  • 不要な物は片付ける
  • コードを束ねる
  • 床頭台やオーバーテーブルの上には必要最低限の物をおく
  • 手に届く範囲に必需品をおく

病室の環境を整えることで、患者さんがストレスなく快適に療養生活を送ることができ、看護師はスムーズにケアを行うことができます。
毎日過ごす場所だからこそ、今一度病室の環境を整えてみてくださいね。

病室
M O C A|一社プロジェネラリストナース協会

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