看護師のキャリアを考える【プロのジェネラリストという生き方】

プロジェネラリスト

みなさんは、看護師にさまざまな得意分野があるのはご存知ですか?

以前もご紹介した、専門看護師、認定看護師などはその代表的なものです。

今日はその中から、ジェネラリストという分野に着目して見ていきます。

ジェネラリストになる前

看護師は3年目以降になってくると専門分野に進んでスペシャリストになるか、管理職に進んでキャリアになるかの選択を迫られます。

師長面談で将来どうしたいかと聞かれる場面は、中堅の看護師あるあるではないでしょうか。私の師長面談を振り返ってみます。

師長
師長

今後どっちに行きたい?管理?専門分野?

わたし
わたし

今はまだどうしたいかわからないです。

師長
師長

教育も興味あるみたいだし、キャリアはどう?

わたし
わたし

管理職は興味なくて・・・

師長
師長

んじゃ専門分野行く?ストマケアどう?

わたし
わたし

それもちょっと・・・

こんな感じで、管理を押されても興味が持てず、かといって専門分野を極めたいかと言われると、特に今いる病棟で極めたいと思える分野が見つからない。そんなジレンマを抱えている人は多いのではないでしょうか?

私はというと、もっと看護を学びたいと思い、大学編入という道を選びました。
公立病院の特例制度を使って大学に行きたかったので、その時の面談は事務職の方にかなり疑問を投げかけられました。

事務長
事務長

大学に行ってなにを学びたいの?

わたし
わたし

今までにあった葛藤を言語化できるようになりたいので大学に行きたいです

事務長
事務長

専門分野が決まってないのに予算使ってまでしても大学に行くべきなの?

わたし
わたし

看護を深めるために行きたいと思っていて・・・

事務長
事務長

看護師として働いてるのに?深めるって?

これを見てもわかるように、事務職の方からも学びたい分野が決まっていないのに大学に行く意味がわからない、と何度も言われました。看護で日々感じている葛藤に関してもどんな場面だったか?どんな葛藤だったか?と聞かれ、葛藤を言語化できないから、大学行きたいって言ってますやん。と堂々巡りの面談でしたが、なんとか制度を使って大学に行かせてもらえることになりました。

管理職からは、管理か専門か?の2択を迫られ、一般の人からも看護を深めることに価値を置いてもらえない。そんな状況の中で生きているのがジェネラリストと呼ばれる看護師です。

ジェネラリストの定義

ジェネラリストとは、日本看護協会では「経験と継続教育によって習得した暗黙知に基づき、その場に応じた知識・技術・能力が発揮できる者」と定義されています。

難しいので、私なりに解釈すると、専門看護師・認定看護師などの専門分野には進まず、管理職にも進んでいないが、病棟にとってはなくてはならない存在で、活躍が期待される人材です。むしろ現場では大部分がジェネラリストで、実際に活躍されています。

2000年代の専門看護師が徐々に増えてきたときは、専門にも管理にも行かないことは向上心がないのでは?と思われたり、良い意味に受け取られることがあまりなかったように思います。

看護協会発行の文書ではジェネラリストの社会的概念の説明で「スペシャリストの対概念として否定的に用いられていた」という過去にも触れられています。

ジェネラリストになるには

ではジェネラリストになるにはどうすればよいのでしょうか?

総合病院など複数の科がある病院に就職した看護師は、3年から5年勤務すると他の病棟に異動になるのが一般的です。
1年目は新人、2年目は2年目教育、3年目はケーススタディの発表、4年目は病棟リーダーや主任業務、5年目は全体教育や各係のリーダー業務と年次教育のラダーが詳しく決められていました。

1〜3年目までは教育される側だったので、初就職した科目を覚えるのに必死でしたが、4年目、5年目になってくると今後の方向性も含めた面談がされるので、上記のような話になりました。

ジェネラリストの定義には載っていませんが、実際に働いている側からすると単一科の経験しかないときはジェネラリストと呼べないのではないかと感じています。

そのため、5年目まで一つの病棟で経験し、その後に他の病棟に異動になった際、異動先の病棟でも一人前の看護師として働くことを要求されます。

ジェネラリストの実際

では実際ジェネラリストと呼べるようになるにはどんな働き方をしたら良いのでしょうか?

まずは異動したとき、異動先の病棟でも業務をこなし、看護できるようになることが必要不可欠です。

私の場合、5年目で編入し、7年目で臨床現場に戻ってきたときの配属先が救急病棟でした。救急では、ほとんどすべての科目の患者さんを看る必要があり、頭から足先までの各科目の病気や事故などを勉強しました。今までに経験したことのない科目だったので、どこを観察するのか、何を看護するのかが全くわかりませんでした。そんな状態でも1年目教育をしなければならない状況で、とても困っていました。

そのときには、自分で専門科目の本を見たり、観察項目や看護についてまとめることで、各科目の最低限の看護ができるようになりました。

異動者の現実問題として、中堅と呼ばれるようになって一人前として働いていたのに、また一から勉強し直し、学び直しという時間が必要になります。他の病棟では一人前だったので、正直結構キツい時間です。しかしこのときに、新たな分野の看護について学ばなければ、看護師として中途半端な人材になってしまうのも事実です。

ジェネラリストの課題

新人のころに思っていたのは、異動されてきた方は他の病棟で経験がある先輩ですが、異動先の分野での知識は少ないので、とても苦労されていたように見えました。

実際には、異動者にもそれなりの技術や知識を学んでもらうような下準備が必要になりますが、その教育まで手が回っていない病院がほとんどです。

日本看護協会発行の「看護にかかわる主要な用語の解説」(2007年)や「継続教育の基準」(2012年)の中でも、ジェネラリストの教育はそれぞれの病院に依るところが大きく、まだ確立されていないことなどが課題として取り上げられています。

看護職の大部分がジェネラリストであるのに、教育については病院まかせになっています。日本看護協会がジェネラリストのラダーについても発表しましたが、それに合わせて教育が行われているかどうかは明らかではありません。

ジェネラリストが一人一人、それぞれの病棟のやり方や観察項目を学んでいく必要があります。一人で部屋周りができたり指示が受けれるようになれば、その看護師は一人前とみなされて、それ以上教育が進まないことが課題です。

新人のときからみっちりその分野のことを教育されていないので無理もありませんが、異動者によるインシデントはよく目にしました。

ジェネラリストの発展性

では、ジェネラリストは今後何をしていけばよいのでしょうか?
2012年にまとめられた継続教育の基準では、下記のように記述されています。

保健医療福祉の現場において、大部分の看護職はジェネラリストとして活動しており、専門職としての独自性を発揮している。ジェネラリストとスペシャリストのいずれにも、専門職として、お互いに協働して看護実践を行うことが求められる。

日本看護協会発行 継続教育の基準より(2012年)

この大部分の看護職であるジェネラリストが、看護師として活躍できる場をつくり、看護師として継続できる環境をつくれば、もっと看護師が生き生きと、看護と真摯に向き合える人をつくるのではないでしょうか?

私たちは、専門でもない、管理でもない、だから消去法でジェネラリストではなく、プロのジェネラリストになるという将来を一緒に目指したいと思います。

プロのジェネラリストという生き方

私たちの協会では、複数の科目を経験し、その違いを理解し、看護できる人のことをジェネラリストと定義します。私たちの協会では、学び直しのツラい時間を少しでも軽減し、どんな科目の病棟に行っても立ち回れる人になることを目標に活動しています。私たちMOCA:一社プロジェネラリストナース協会は、単一科目の経験しかない看護師などが、将来どのようにして行きたいかを考えたときに、プロのジェネラリストとしての生き方を提案しています。

日本看護協会では、ジェネラリストの役割について以下のように述べられています。

近年では、ジェネラリストとスペシャリストの役割が分化されたことにより、看護の質を高めるためには、各領域のスペシャリストを適切に活用できるジェネラリストの存在意義が大きくなっており、肯定的に用いられるようになった。言い換えると、スペシャリストがその専門分化した能力を十分に発揮するためには、スペシャリストにタイミングよく相談できる優れたジェネラリストの存在が必要不可欠なのである。

日本看護協会発行 継続教育の基準より(2012年)

このようにジェネラリストがそれぞれの病棟、それぞれの病院、それぞれの場所で活躍できるようになるためには、まずどんなスペシャリストが院内にいるのかを知っていなければ意味がありません。またどんな職種がいて、どの場面で活用・相談するのかを知っていなければ、ジェネラリストの力を発揮でできません。

私たちは講座の中でプロのジェネラリストとはどんな人かを明確にします。まず自分にどんな力があるのかを客観的に俯瞰し、看護師を続けていくための人間関係の対処法、看護師が最低限身につけておいてほしい医療現場での整理収納の方法など様々なことをお伝えしています。

看護の未来

私たち一社プロジェネラリストナース協会は、「命と向き合い、人を支える」という理念で活動しています。

看護師は患者さんのケアや日々の看護のことで自分のことは置き去りにしがちですが、そのようにがんばってくれている看護師の命も同じように尊い。そのような想いを込めてこの理念にしました。

本来は守られなければならない看護師の命ですが、コロナウイルスの患者を対応するのは、医師と看護師です。危険エリアに防護服をつけて入っていくのは主に看護師です。

私たちは、そのような看護師がゆっくりと緊張の糸が緩められるようなイベントを行ったり、看護師がさらに活躍できるような資格講座を行っています。

医療従事者が緊張の糸を少し緩めてグリーンに触れることで、ふっと軽くなれる、そんな時間を一緒に持てると嬉しいです。

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