働きやすい医療現場に整える 【経管栄養の準備スペース】

コラム

経管栄養とは、経口摂取が不可能あるいは不十分な患者に対し、体外から消化管内に通したチューブを用いて流動食を投与する処置とされています。(ウィキペディアより)

日本では高齢化社会にともない、経管栄養を必要とする患者は増加傾向にあり、多くの病院ではこの看護ケアが必要となっています。

経管栄養を実施するにあたり、看護師は滅菌操作レベルの清潔操作は必要ありません。しかし、食事を準備することと同様であるため、清潔に必要物品を保管し、清潔な状態で準備していく必要があります。

みなさんの病棟では、経管栄養を準備するためのスペースや経管栄養の必要物品を保管してある場所は、きれいに保たれていますか。今回は、放っておくと汚れがちな経管栄養の準備スペースの整理収納についてお話していきます。

経管栄養の種類

経鼻経管栄養鼻からカテーテルを挿入し、そこから胃や十二指腸、空腸などへ栄養剤を注入する方法です。

経管栄養が選択される例
  • 口や喉の手術後で食事を摂取することが難しい
  • 脳や神経の病気により食事が難しい
  • 消化機能は保たれているが、何らかの理由により摂取ができない
  • 摂取しているが、カロリーが足りていない

などの場合に選択されることが多い栄養摂取の方法です。挿入する期間が長期になる場合には、胃瘻と言って、胃に穴を開けて胃に直接栄養剤を注入するためのチューブ造設などが検討されます。

経瘻孔法(胃瘻・腸瘻等)

頚部や腹部に小さい穴を開け、そこからカテーテルを挿入して栄養剤を投与する方法です。頚部の場合を頚部食道瘻、胃の場合を胃瘻、腸の場合を腸瘻と言います。

間歇的口腔食道経管栄養法

食事のときのみチューブを留置し、その先端を食道まで通す方法です。患者さんは食事の際に、毎回チューブを飲み込むことになりますが、食事が終了すればチューブを抜くことができます。

クローン病や慢性炎症性大腸炎の方などは退院する前には、自分で挿入や抜去ができるように手技を練習してから退院してもらうことが多いです。

一般的には、経鼻経管栄養が1か月以上となる場合に経瘻孔法が検討されるようです。経鼻経管栄養の状態では入れる施設はかなり限られてしまいますが、胃瘻や腸瘻を造設することで入居施設の選択肢が増えます。

経管栄養投与のために必要な物品

  • イリゲーター(注入用のボトル) ※半固形化栄養剤を使用するときは不要
  • 接続用チューブ(ボトルとチューブがつながった製品もある)
  • 栄養剤
  • 白湯
  • すり鉢または内服薬溶解ボトル
  • 計量カップ
  • 注入用フックあるいはスタンド(点滴スタンドで代用可能)
  • ハサミ
  • 手袋
  • 聴診器
  • シリンジ(カテーテルチップタイプ)
  • 指示箋
  • 内服薬
  • 加圧バッグ(PG加圧バッグ) ※半固形化栄養剤を使用するときのみ必要

イリゲーター(栄養剤を入れる容器)については、ディスポーザブル(使い捨て)を導入するようになってきています。乾燥させにくいことや、名前の記入などに使用するペンの成分が消毒の際に分解され、容器に付着するため衛生的でないという問題があるようです。

経管栄養物品スペースのお困りごと

準備時に周囲が汚れてしまう

経管栄養の準備の際には栄養剤や白湯などがこぼれたり、薬が飛び散ってしまったりして、周辺が汚れやすいです。特に、薬や栄養剤がこぼれてしまい、それに気づかず踏んづけてしまうと、靴の裏に薬や栄養剤がついてべとべとします。時間が経つと、黒っぽい汚れになり、見た目にも汚くなります。

経管栄養の準備の際に、チューブの先まで栄養剤を満たしたます。
その時に、近くにシンクがないと栄養剤が床や作業台に落ちて汚れやすくなりますので、作業スペースはシンクの近くに作れるようにしましょう。

準備作業台と必要物品の保管場所が遠い

準備はシンクの近くで行うことになっていても、その周囲に経管栄養の必要物品を置いておくスペースがなく、シンクから離れたところに物品を保管している病院があります。
準備のたびに、離れたところに物を取りに行かなければならず、効率が悪くなります。

必要物品が多くかさばる

イリゲーターやチューブ、シリンジなど、患者さんの個人所有になっているものが多く、経管栄養患者が多く入院している病棟では、たくさんの物品を管理しなければいけません。同時刻に投与することが多く、一度に何十個もの栄養を準備するということもあります。洗浄、乾燥、保管なども同時に行われることが多いため、ある程度のスペースが必要になります。

わたしが働いていた病棟では、水回りスペースの一角に栄養準備スペースがありました。

常に経管栄養の患者さんがいるような病棟ではなかったため、スペースが広くとられていませんでした。

準備のとき以上に、洗浄して乾燥させる工程でスペースが必要になることが多く、しっかり乾燥させるように場所を移動させたりしながら管理することが大変でした。

作業スペースが狭い

経管栄養を準備するスペースは清潔である必要があります。清潔に保つために、アルコール綿や消毒用のウェットティッシュを準備し、手袋を近くに置いておく必要がありますが、それらを作業台に置いてしまうと、スペースが狭くなってしまいます。また、白湯が必要なため電気ポットのような電化製品が必要となり、それらを置くスペースやハサミや計量カップなどの細々とした物を置くスペースが必要なため、実際に作業できるスペースが狭くなります。

患者間違いが起きやすい

同じ物品を使うことが多く、違う患者さんのものを間違えて使いそうになった…という経験はありませんか?栄養剤も似たような色や形、名前の物があるため、注意が必要です。

定位置に物品がない

準備するために使用するはさみや、薬を粉砕するためのすり鉢などが、定位置にないと探さなければいけません。

経管栄養を準備する際にするハサミは、専用のものを準備されていますか。
個人でハサミを持って仕事をしている看護師が多いですが、ナース服のポケットに入れているハサミは清潔とは言えません。経管栄養を準備するときに使用するものは、それ専用の物を準備してくださいね。

経管栄養準備スペースを働きやすく整えよう

壁収納や吊り下げ収納を利用する

経管栄養を準備するためには、スペースが必要です。消毒用のウェットティッシュや手袋などの必要物品は、壁に収納スペースを取りつけたり、フック型のボックスホルダーを利用して収納しましょう。

アスクルさまより画像をお借りしています。

準備の段階で、栄養剤が入っていたパックやプラスチック容器、内服薬の袋のゴミなど、多くのゴミがでるため、足元には蓋のないゴミ箱やゴミ袋を洗濯ばさみやテープなどで貼り付けて置くと、スムーズにゴミが入れられますよ。まとめて捨てるために作業スペースにゴミを置いてしまうと、狭くなって作業しづらくなりますね。

使用後は作業スペースを拭く

目に見えていなくても、栄養剤や薬、白湯などが飛び散っている場合があります。経管栄養の準備終了後は、必ず周囲を拭くように徹底することで、気づかないうちに踏んづけて汚してしまうことを防ぐことができます。

準備の際に吊り下げている台(点滴スタンドでも代用可)には意外と汚れが付いていますので、気を付けてくださいね。

物品の定位置を決める

ハサミやすり鉢、聴診器などを共同で使っている場合には、それらの物品の定位置を決めておきましょう。置き場所にラベリングをし、使用後には必ずそこに返却するようにします。

個人ごとに必要物品をセッティングして準備しておく

すでに実施されているところもあるかと思いますが、経管栄養の物品は個人所有で管理が必要です。洗浄・乾燥した後には、それぞれ個人用にカゴを用意し、イリゲーターやチューブ、シリンジなどの必要物品をセットにして保管します。必要な物品は作業台周囲に保管できる場所を作り、効率的に動けるようにしましょう。

経管栄養の患者さんが多く入院する病棟では、重ねられるカゴを使用すると、収納に便利ですよ。

片付ける段階で個人個人に分けておくことで、患者間違いを防ぐことにもつながりますね。

まとめ

今回は、経管栄養の準備スペースについてお話しました。

経管栄養準備スペースを働きやすく整えるポイント
  • 壁収納や吊り下げ収納を利用する
  • 使用後は作業スペースを拭く
  • 物品の定位置を決める
  • 個人で必要物品をセッティングして管理する

経管栄養は患者さんの食事であり、清潔なスペースで清潔な状態で準備されなければいけません。清潔不潔の概念を持ち、清潔が保たれたスペースになるように管理をしていきましょう。この機会に一度、経管栄養の準備スペースの収納を見直してみてくださいね。

コメント

タイトルとURLをコピーしました